自分で理解できるテキストが無かったので作る.
ベースは
- http://wwwtec2.tl.fukuoka-u.ac.jp/~tc/suikou/kougi/Kisosuiri/Kisosuiri.html
- ベルヌーイの定理 - Wikipedia
- 建築学大系〈第22〉室内環境計画 (1969年)
です.
流線と流管
定常的な流れ中の微少部分は一つの道筋を描く.これを流線(stream line)と呼ぶ.流線上の速度ベクトルは接線方向と同じであり,流線を横切るような流れは存在しない.
有限の流線群からなる小さい管を流管(stream tube)と呼ぶ.流管上にもこれを横切るような流れは存在せず,周壁は固体であるとみなしてもよい.
流管における物質収支
流管の流入側断面をa,流出側断面をbとする.このとき,微少時間中に流管へ流入する物質の体積は,aにおける断面積を,流速をとして
で表される.ここで流体の密度をとすれば,流入する物質の質量は
で表される.同様にbにおける流出体積を,流出質量をとし,
と表現する.流体は非圧縮性と仮定し,とする.ここで質量保存の法則を用いると次式が得られる.
これを非圧縮性流体における連続の式と呼ぶ.
流管におけるエネルギー収支
ベルヌーイの式
流管へ流入する全力学的エネルギーは
流管から流出する全力学的エネルギーは
で表すことができる.いま,定常流を仮定しているため,
ただし力学的エネルギーは保存されると仮定している.これを展開すれば次式が得られる.
ここで連続の式を用い,
とし,で展開された式を割る.
さらに,とし,両辺を割ると次式が得られる.
ここでもしくは位置エネルギーによる影響が著しく小さいとみなせるのであれば,
a,bは任意であるため,一般に
この式を定常非圧縮性流体におけるベルヌーイの式(Bernoulli's Equation)と呼ぶ.左辺第1項を動圧,第2項を静圧,右辺を総圧(全圧)と呼ぶ.
ベルヌーイの式は次のことを表している.
- 流体は常に一定の全圧を持つ
- 全圧は運動により一部が動圧となり,残りが静圧となる
- 速度が大きくなれば静圧は低くなり,速度が小さくなれば静圧は大きくなる
また,一般力学において運動エネルギーと位置エネルギーの間でエネルギー交換が行われ,その和は常に一定に保たれるというエネルギー保存則と,流体の運動に伴う動圧,静圧,全圧の関係は相似であるということをベルヌーイの式は示している.