マルチ栽培について

1h30min。もうすこしパパっと書きたい。文字数半分にしたい。添削まで含めて2時間くらいでできるようになりたい。

マルチとは?

マルチは英語ではmulchと綴り、「根におおいをする」という意味の単語です。その単語の意味する通り、プラスチックフィルムや稲わらなどで土壌表面を覆うことをマルチ、あるいはマルチングと呼びます。また、マルチするときに使う資材のこともマルチと呼ばれます。「多い」という意味のmultiと似ていますが意味も綴りも違います。

マルチの歴史

マルチ栽培の元をたどると、農家の経験から生まれた敷わら方式に行き着きます。古くから、稲わらや麦、サトウキビ、牧草などが、地温調整、泥跳ね防止、乾燥防止などの目的で利用されてきました。
日本では、昭和33年以降、ポリエチレンの国産化に端を発し、ポリエチレン製マルチ、いわゆるポリマルチの利用が全国的に広まりました。ポリマルチは主に低温期の地温上昇に利用され、作期の前進に対して絶大な効果を上げました。地温上昇以外にも、土壌の流亡、劣化の深刻な地域での利用も広くされるようになりました。
現在では様々な色、素材のマルチがあり、地温上昇や土壌保護以外にも害虫防除や雑草抑制、ウイルス防除など、様々な目的で利用されるようになりました。2000年に農業用プラスチック国際委員会(CIPA)が行った調査によると、マルチを最も利用しているのは中国で、200万haもの利用面積があります。日本は狭い国土面積ながらそれについで2位の利用面積で、16万haの利用があります。以下、スペイン、フランス、アメリカなどが続きます。

マルチの種類

マルチは素材および色で大きく分類することができ、それぞれ利用目的が異なります。

素材による分類

素材から見ると、ポリマルチに代表されるプラスチック系マルチ、敷わらなどに代表される有機物マルチ、そして紙マルチに分類されます。
プラスチック系マルチは主として地温の上昇、雑草抑制、土壌構造の保護を目的に利用されます。土壌からの肥料流亡を抑制するため、露地栽培に比べて肥料を節約できる効果もあります。近年では省力化、環境負荷の軽減を狙って生分解性プラスチックや光崩壊性プラスチックを用いたマルチもあります。分解性マルチは早いものでは1ヶ月程度で部分的な崩壊が進むため、作物に合わせた分解時間のものを選択する必要があります。
敷わらなどの有機物マルチは日中には地温上昇を抑え、夜間には熱が逃げるのを抑えます。ただし、早い時期から有機物マルチを施すと地温の上昇を妨げ、生育を遅らせることもあるため注意が必要です。また、利用後に土壌にすき込むことで土壌改良効果も狙うことができます。
紙マルチは水蒸気の蒸発を妨げずに日射を遮るため、地温上昇抑制効果が高く、高温期の作型に向く資材です。ただし、地中に埋まる裾部の分解が早いため、飛散の心配があります。生育が早く、植物体が素早く地表面を覆う(植被が早い)作物や、トンネル、ハウス栽培と組み合わせての利用が推奨されます。

色による分類

プラスチック系マルチは、様々な色のものが販売されています。
地温上昇の面から見ると、太陽光を最も透過する透明が最も昇温効果が高く、次いでグリーン、黒、シルバー、白の順に昇温効果が下がり、シルバーや白は地温を下げる目的で広く利用されています。
透明マルチは地温上昇効果は優れるものの、雑草が生えてしまいます。一方、黒マルチは地温上昇効果はやや劣りますが光線を遮断するため雑草抑制のために利用されます。両者の中間的性質を持ったのがグリーンマルチで、雑草の生育を抑制できる程度に光を取り込んで地温を上昇させます。
昇温抑制の目的では、地表面からの放射冷却を妨げない分、白マルチの方が効果が高く、シルバーマルチに替わって利用が進んでいます。白だけでは光線を遮断しきれず、雑草抑制効果が低いため、裏側に黒マルチを裏打ちした白黒マルチが利用されます。
また、シルバーマルチやシルバーのストライプが入ったタイプの反射率の高いマルチはアブラムシ類の行動撹乱に効果があり、アブラムシ類が媒介するウイルス病の防除に有効です。
以上のようにマルチには様々な種類があり、それぞれ目的が異なっています。栽培する野菜の種類や目的に応じたマルチを選択するようにしましょう。

参考文献