異常気象と気候変動

異常気象と気候変動の外的要因

天文的要因
  • 公転軌道の変化:地球の公転軌道は数万年単位で円形から楕円形まで変化をしている。現在は近日点と遠日点の放射量の差は7%程度だが、離心率の最大値である0.068の場合は近日点と遠日点で放射量に30%もの差が生じる。この場合、季節差は北半球で小さく、南半球で大きくなる傾向がある。
  • 地軸の変化:地軸は4.1万年周期で22.1度から24.5度の間を振動している。傾斜角が大きくなると季節変化は増大する。
地学的要因
  • 火山噴火:噴火は多量の水蒸気、二酸化炭素、亜硫酸ガス、火山灰を放出する。水蒸気や二酸化炭素温室効果気体として作用する。亜硫酸ガスは硫酸エーロゾルに変化して滞留を続け、地表面への直達日射量を現象させる。これを日傘効果と呼ぶ。この際、成層圏の気温は上昇するが対流圏の気温は低下する。
  • 海流の変化:海洋は大気に比べると熱容量がはるかに大きく、大気にとっての熱源となる。よって、海洋の変化は大気にも影響をおよぼす。
人為的要因

異常気象と気候変動の内的要因

エルニーニョ現象ラニーニャ現象

太平洋赤道域の中央部から南米ペルー沿岸にかけての地域で海面水温が継続して上昇する現象をエルニーニョ現象、逆に平年より低くなる現象をラニーニャ現象と呼ぶ。
平年には太平洋赤道域下層には貿易風が吹き、界面には西向きの海流が発生して西武太平洋側へ温かい海水を運ぶ。このとき、インドネシア付近では暖水層が厚くなるが、逆にペルー沖では下層から冷水が湧き上がってくる(湧昇)。その影響でペルー沖の海水温は気温に比較して低くなる。また、インドネシア側の海水面は数十cm高くなる。
温かい海面水温の上では上昇気流が発生しやすく、積雲対流で発生した潜熱は大気を加熱する。その結果低気圧が発生しやすくなる。逆に冷たい海面水温の下では高気圧が発生しやすくなる。
よって、平年時にはペルー沖では高気圧が発生し下降気流が、インドネシア付近で低気圧が発生し上昇気流が起き、上層では西風が、下層では東風が発生する。この循環をウォーカー循環と呼ぶ。

  • エルニーニョ現象貿易風が弱まると西向きの海流も弱まり、ペルー沖の冷水湧昇も弱まる。結果として海面水温が上昇し、積雲対流が活発な領域は東へずれ、太平洋中部付近で活発となる。エルニーニョ時には日本では暖冬、冷夏の傾向がある。
  • ラニーニャ現象:貿易風が強まると、ペルー沖の冷水湧昇も強まる。結果としてインドネシア沖の海面水温は上昇し、積雲対流が活発になる。さらに、ウォーカー循環を強めて貿易風が強い状態が維持されやすくなる。
その他の要因
  • 南方振動:太平洋赤道域の地上気圧は東部で下がれば西部で上がる。これを南方振動と呼ぶ。
  • テレコネクション:大気の運動変化が隣接する大気の気象に影響をおよぼすことでより遠くの気象現象まで波及すること。その概念。
  • インデックスサイクル:中・高緯度偏西風(ジェット気流)は1ヶ月程度の周期でゆるやかな蛇行の東西流と激しい蛇行の南北流に変化する。これをインデックスサイクルと呼ぶ。南北流が発達すると、南へ蛇行した際に切離低気圧、北へ蛇行した際に切離高気圧を発生させる場合がある。これらの気圧は停滞することが多く、ブロッキング型の大気パターンと呼ぶ。ブロッキング型では2週間程度は暖気や寒気が入り、偏った天候が続く。
  • 海氷や氷床の現象:氷は太陽光を強く反射する(アルベド大)ため、北極海の氷床が大きく減少した2007年夏には海水温度が数度上昇した。
  • 雲量の変化:雲は日射を吸収する効果と日射を遮る効果の両方を持つ。薄い上層雲は温暖化効果が高く、厚い雲や下層雲は地表面温度を下げる効果が大きい。