統計検定2級の過去問

間違ったやつと自信をもって解けなかったやつ。

2016年11月 問8[1]

問題(要約)

互いに無相関な標準化された確率変数X_1, X_2, X_3およびそれらの平均Y=(X_1+X_2+X_3)/3を考える。

X_1Y相関係数を求めよ。

回答

相関係数r_{X_1Y}は次の式で求められる。

 \displaystyle{
r_{X_1Y} = \frac{Cov [X_1, Y] }{\sqrt{V [X_1] V [Y] }}
}

ここで未知なのは共分散Cov[X_1, Y]とV[Y]なので、この2つを求める。

共分散Cov[X_1, Y]を求める

共分散は次の式で求められる。

 \displaystyle{
Cov [ X_1, Y ] = E [ X_1Y ] - E [ X_1 ] E [ Y ]
}

X_1は標準化されているため、E[X_1 = 0]であり、つまりE[X_1Y]を求めれば良い。Yを展開して整理すると、次のようになる。

 \displaystyle{
E [ X_1Y ] = \frac{1}{3}(E [ X_1^2 ] + E [ X_1X_2 ] + E [ X_1X_3 ])
}

ここで、次の関係を利用する。各Xは標準化されているという点に再度注意する。


\begin{aligned}
V[X_1] &= E[X_1^2] - E[X_1]^2 \\
           &= E[X_1^2]
\end{aligned}


\begin{aligned}
Cov[X_1, X_2] &= E[X_1X_2] - E[X_1]E[X_2] \\
              &= E[X_1X_2] \\
              &= 0
\end{aligned}

無相関な2変数の共分散は0である点にも注意。上記の関係を利用すると、


\begin{align}
E[X_1Y] &= \frac{1}{3}(E[X_1^2] + E[X_1X_2] + E[X_1X_3]) \\
        &= \frac{1}{3}(V[X_1]) \\
        &= \frac{1}{3}
\end{align}

すなわち、共分散は

 \displaystyle{
Cov[X_1, Y] = \frac{1}{3}
}

V[Y]を求める

3つの変数は無相関なので、和の分散は分散の和になる。


\begin{align}
V[Y] &= V[\frac{X_1 + X_2 + X_3}{3}] \\
     &= \frac{1}{9}(V[X_1] + V[X_2] + V[X_3]) \\
     &= \frac{1}{3}
\end{align}


\begin{align}
r_{X_1Y} &= \frac{Cov[X_1, Y]}{\sqrt{V[X_1]V[Y]}} \\
         &= \frac{1/3}{\sqrt{1/3}} \\
         &\approx 0.5773503
\end{align}